「3歳児健診でひっかかったらどうしよう?」と不安を感じている方もいるかもしれません。3歳児健診は、自治体が実施する、お子さんの健康状態や発達の進み具合を確認する健康診査です。対象は3歳から4歳になる前日までのお子さんですが、自治体によって対象期間が異なるため、事前に確認が必要です。身長・体重測定をはじめ、視力・聴力検査、運動機能や言語発達のチェックなどが行われ、発育の遅れや健康上の課題を早期に発見できます。この記事では、3歳児健診の問診内容、指摘されやすいポイント、発達障害に関わる検査内容を詳しく解説します。
3歳児健診の目的や内容

3歳児健診は、お子さんの成長や発達の状況を確認する大切な機会です。3歳頃は言葉の発達や社会性の形成が進む重要な時期で、さまざまな検査で総合的に成長が評価されます。さらに、育児の悩みを相談できる場として活用することもできるでしょう。ここでは、健診と検診の違い、3歳児健診の目的と流れを詳しく解説します。
健診と検診の違い
「健診」と「検診」は、それぞれ違う目的を持って使われます。「健診」は健康な方を対象に健康状態の確認や病気の予防を目的とした健康診査であり、「検診」はがん検診など特定の病気の早期発見を目的とした検査です。
3歳児健診は、お子さんの健康状態や発達を評価する健康診査(健診)で、厚生労働省が定める「乳幼児健康診査」の一部として実施されています。自治体ごとに実施されるため内容や検査項目に違いがありますが、基本的な目的は全国共通です。
3歳児健診の目的とは?
3歳児健診の主な目的は4つあります。
- 身体的発育の確認
- 発達の評価と支援
- 病気や健康リスクの早期発見
- 育児支援
健診は、お子さんの成長や発達を総合的に評価し、病気や発達上の課題を早めに把握して必要な支援や治療に結びつけることが目的です。3歳児健診は、お子さんの成長で気になることを相談できる場でもあり、育児への支援も目的としています。
3歳児健診の流れ
3歳児健診の流れは自治体ごとに多少違いますが、一般的には次のようなステップで行われます。
- 事前通知と問診票の記入、家庭での検査
自治体から健診の案内が届いたら、問診票に記入しましょう。健診会場に行く前に家庭で視力検査を行う場合もあるでしょう。 - 受付・基本測定
当日受付を済ませると身長・体重・頭囲・胸囲の測定が行われます。 - 各種検査の実施
視力検査・聴力検査・歯科検診・運動や言語の発達チェックを受けます。いつもできることが健診会場ではできない場合があれば、医師や保健師に伝えましょう。 - 問診・医師の診察
問診票の内容をもとに、保健師や医師による問診と診察が行われます。 - 結果の説明とフォローアップ
健診結果の説明を受け、必要に応じて追加検査や専門医を紹介されるでしょう。
3歳児健診の検査内容
3歳児健診では、お子さんの成長や発達を総合的に評価するために、さまざまな検査が行われます。標準的な検査項目を7つ取り上げるので、詳しくみていきましょう。
身体測定
身長・体重・頭囲・胸囲の測定を行い、成長曲線と照らし合わせて発育の状況を評価します。
身長・体重測定では成長の伸び悩みや急激な増加がないか、また身長と体重のバランスを確認します。小さく生まれるなど成長曲線から外れていても、成長の経過を確認するのが大切です。
頭囲測定は脳の発育の指標となるため、標準範囲を大きく外れている場合は追加検査を検討される場合があるでしょう。
胸囲測定では、呼吸器系や骨格の成長を確認します。
視力・聴力検査
3歳児になると視力や聴力の発達が進み、日常のコミュニケーション能力にも影響を与えます。視力・聴力に問題があると言葉の発達や学習の遅れにつながる可能性があるため、慎重にチェックされるでしょう。
視力検査では、専用の視力検査表(ランドルト環など)を使用し、遠視・近視・乱視の有無を確認します。
聴力検査では、オージオメータ(聴力測定機器)を用いた検査や、音に対する反応を確認するスクリーニング検査が行われます。家庭でささやき声検査を行うこともあるでしょう。言葉の遅れには聴覚の問題が伴うケースもあり、注意が必要です。
歯科検診
3歳児は20本の乳歯がほぼ生えそろう大事な時期です。歯科検診では、むし歯や歯垢の有無などお口のなかの状態をチェックし、噛み合わせから顎の発育に問題がないかを確認します。また、歯磨きの習慣・仕上げ磨き・指しゃぶり・食事の習慣も確認されることがあります。乳歯のむし歯は永久歯の歯並びや健康に影響するため、むし歯が見つかった場合は早めの治療がおすすめです。
運動機能の発達チェック
3歳児健診ではお子さんの運動発達も確認されます。日常生活に必要な身体の使い方や、手先の器用さなどの細かい運動機能が年齢相応かどうかをチェックします。
主に、身体の使い方(粗大運動)で確認されるのは以下の点です。
- スムーズに手足を交互に出して歩くことができるか
- 一定の距離を速く走れるか
- 片足立ちの持続時間
- 階段の上り下りができるか
手先の器用さ(微細運動)は次のことが確認されます。
- 丸い形が描けるか
- 親指と人差し指を使ってつまめるか
- ボタンの留め外し
- ブロックやパズルの組み立て
各項目は自治体によって異なるでしょう。ここに挙げた項目は目安で、できなくても心配する必要はありません。発達のペースの確認が目的です。
言語・コミュニケーション能力の確認
3歳になると、二語文や簡単な会話ができるようになります。健診では、医師や保健師との会話を通して言葉の発達状況を確認し、コミュニケーション能力を評価します。具体的に確認されるのは、主に以下の項目です。
- 発語のチェック:名前を答えられるか、単語を組み合わせて話せるか
- 指示の理解:簡単な指示に従って行動できるか、大小や長短がわかるか、高低や色が理解できるか
- 対人関係の確認:保護者や健診スタッフと目を合わせて会話できるか、友だちと集団遊びができるか
これらの項目が完璧にできなくても、問診の様子全体を通して総合的に判断されます。気になる点がある場合、再検査などで追加の評価が行われることがあるでしょう。
生活習慣の問診
3歳児健診では生活習慣に関する問診もあり、以下の点の確認が行われます。
- 食事の状況:好き嫌い・偏食・食べるスピード・食事のリズムなど
- 睡眠習慣:就寝・起床時間・夜泣きや寝つきの状況
- 排泄の自立度:トイレトレーニングの進捗状況・おむつの使用頻度
生活習慣の確認を通して、お子さんの健康的な習慣ができ始めているか、社会性の発達がすすんでいるかなどが確認されるでしょう。
家庭での行動観察
お子さんの家庭での様子をアンケートや問診を通じて把握し、社会性や情緒の発達を確認します。
- 親とのやり取り:会話や遊びを通じたコミュニケーションの取り方
- ほかのお子さんとの関わり:集団遊びへの興味や協調性
- 感情表現:喜怒哀楽の表出や自己主張の仕方
家庭での行動観察は、お子さんの発達や性格、得意なことや苦手なことを理解する手がかりとなります。
3歳児健診には必ず行かなければならないのか?

3歳児健診は、お子さんの健康や発達を確認し、問題を早期に発見するために実施される大切な健診です。しかし、法律で義務付けられているものではなく、「必ず受けなければならないのか?」と疑問に思う保護者もいるかもしれません。ここでは、3歳児健診の法的な位置づけや受診しなかった場合のリスク、自治体による未受診者へのフォローを解説します。
3歳児健診の法律上の位置づけ
3歳児健診は、母子保健法第12条に基づき市町村が実施する健康診査の一つです。市町村には3歳児健診の実施義務がありますが、受診するかどうかは保護者の判断に委ねられています。罰則規定はなく、健診を受けなくても法律違反にはなりません。しかし、3歳児健診は健康チェックだけが目的ではなく、お子さんの発育や発達を確認し専門機関との連携を図る重要な機会です。特に、発達障害や弱視などは早期発見が大切で、受診しないことで必要な支援を受ける機会を逃してしまう可能性があります。
3歳児健診を受けなかった場合のリスク
3歳児健診を受けない場合、以下のようなリスクが考えられるでしょう。
- 発達の遅れや健康問題の早期発見が難しい
- 専門機関でのフォローが受けられない
- 小学校入学時に問題が顕在化する可能性がある
3歳児健診で発達の課題が見つかった場合、就学前の段階で適切なサポートを受けられるかもしれません。しかし、健診を受けずに支援がないまま進学すると、小学校入学後に適応が難しいと明らかになる場合があります。3歳児健診を受けないことによる影響は、将来的な発達支援の遅れにつながる可能性があります。
まだ3歳児健診を受けていない方へのフォロー
多くの自治体では、まだ3歳児健診を受けていない方へ積極的なフォローを行っているでしょう。自治体によって対応は異なりますが、一般的な対応の例として、電話や文書での受診案内・個別相談の実施・訪問指導などの取り組みがあります。
また、一部の自治体では通常の集団健診とは別に、個別健診やオンライン相談を設けることで未受診者が健診を受けやすい環境を整えています。
3歳児健診でひっかかる原因は何がある?
3歳児健診では、いくつかの検査で「ひっかかる」ケースも少なくありません。これは深刻な問題を意味するものではなく、さらに観察し専門的な評価を受けた方がよい場合です。
ここでは、3歳児健診で指摘されることが多い5つの原因を解説します。
言葉の発達が遅い
3歳児健診では、言葉の発達が重視される評価項目です。標準的には二語文以上を話し、簡単な質問に答え、日常の出来事を言葉で表現することが期待されます。これが難しい場合、言語発達の遅れと判断されることがあります。ただし、習得の速さには個人差があるため、成長がゆっくりなだけのケースもあるでしょう。さらに、耳が聞こえにくい場合や自閉スペクトラム症(ASD)の兆候がある場合も言葉の発達が遅れる傾向があります。言葉の遅れを指摘された場合は、専門機関での言語訓練や聴覚検査がすすめられることがあるでしょう。
運動発達の遅れ
3歳児健診では、身体全体を使う粗大運動と、手先の器用さなどの微細運動の両面から運動発達が評価されます。たとえば、スムーズに手足を交互に動かして歩けるか、一定距離を速く走れるか、片足立ちができるかなどです。また、丸い形を描く、指先で物をつまむ、ボタンの留め外しができるかなどもチェック項目です。これらの動作が難しい場合、筋力の未発達や神経系の問題、発達の課題の可能性もあるでしょう。専門医の診察が必要な場合は、整形外科やリハビリテーション科、小児神経外来や発達外来が紹介されることがあります。
視力・聴力の課題
3歳児の標準視力は0.7以上とされます。それを下回る場合は弱視や、片目だけ視力が悪い不同視、両目の視線がずれる斜視の可能性もあります。弱視は脳の視覚の発達が遅れている状態で、眼鏡だけでは改善できません。3歳児健診で見つかれば小学校までに治療できますが、8歳を過ぎると治りにくくなります。聴力検査では、小さな音に反応しない・名前を呼んでも振り向かない・言葉の発達の遅れが見られる・中耳炎を繰り返しているなどを確認します。こうした兆候がある場合、難聴があるか耳鼻科での詳しい検査がすすめられるでしょう。
社会性・情緒の課題
3歳頃になると、ほかのお子さんと遊んだり、自分の気持ちを表現したりするようになります。健診では、集団生活への適応状況や、親以外の大人との交流ができるかどうかが評価されます。人見知りや性格の特徴で特に問題のないケースも少なくないでしょう。しかし、過度なこだわりや極端な内向性がみられる場合は、発達の遅れや自閉スペクトラム症(ASD)の可能性も考えられます。しかし、環境の変化やストレスが原因で内向的になっている場合もあるかもしれません。社会性が気になると指摘された場合、児童心理士や発達相談センターへの相談がすすめられることがあります。
医師の診察で指摘されるケース
3歳児健診の際、医師は身体検査を行い以下の点をチェックします。
- 心雑音:先天性心疾患の可能性
- 皮膚の状態:アトピーやアレルギーの兆候
- 歩行の状態:骨・関節の異常
- 泌尿生殖器の状態:停留精巣・陰嚢水腫・外性器異常
問題が見つかった場合、専門医への紹介が行われ、精密検査を受けることがあるでしょう。
3歳児健診で発達障害に関わる検査内容は?

3歳児健診では、発達の遅れや発達障害の兆候を捉えるための検査も行われます。特に、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)の発達障害の初期兆候を早期に発見し、適切な支援につなげることが目的です。ここでは、3歳児健診で行われる発達障害に関するチェック内容や、専門機関での評価を詳しく解説します。一つひとつみていきましょう。
発達障害のチェック項目
3歳児健診では発達障害の兆候を発見するために、保護者の記入する問診票や、医師・保健師の観察を通じて以下の項目をチェックします。
- 言葉の発達:二語文以上を話せるか、簡単な質問に答えられるか
- コミュニケーション能力:名前を呼ばれたときに反応するか、アイコンタクトを取れるか
- 興味やこだわり:特定の物や行動に強いこだわりがあるか
- 社会性の発達:ほかのお子さんと一緒に遊ぼうとするか
- 指示の理解:「ここに座ってください」など簡単な指示に従えるか
これらの項目は、発達障害の可能性があるかどうかを判断するための確認事項です。追加の評価が必要と判断された場合は、専門機関での検査が推奨されることがあるでしょう。
自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)の初期兆候
3歳児健診では、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)の兆候も確認します。幼児期にはっきりと診断がつくことは少ないものの、特徴的な行動パターンがみられることがあります。
自閉スペクトラム症(ASD)の初期兆候として次の点が挙げられるでしょう。
- アイコンタクトが少ない:他人の顔をあまり見ず、視線が合いにくい
- 対人関係に興味が薄い:ほかの子どもと遊ぼうとしない
- こだわりが強い:同じ遊びや行動を繰り返す
- 言葉の遅れがある:3歳になっても単語しか話さない、またはまったく話さない
注意欠如・多動症(ADHD)の初期兆候として以下の点があります。
- じっとしていられない:落ち着きがなく、動き回ることが多い
- 注意が持続しない:遊びの途中でほかのことに気を取られる
- 衝動的な行動:順番を待てない、興味のあるものにすぐ飛びつく
これらの兆候が確認されると、専門機関でさらに評価が行われる場合があります。
発達検査(新版K式発達検査、M-CHATなど)
3歳児健診で発達の遅れが疑われた場合、より詳しい発達検査が実施されることがあるでしょう。自治体や医療機関によって異なりますが、以下のような検査が代表的です。
新版K式発達検査
- 対象年齢:1歳6ヶ月~4歳11ヶ月
- 乳幼児期の発達評価に用いられる検査で、「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会性」の3領域を評価
- お子さんの年齢に応じた課題を提示し、得意・不得意な分野を確認
M-CHAT(乳幼児期自閉症チェックリスト)
- 主にASDのスクリーニングに使用される問診形式の検査
- 保護者がお子さんの行動を回答していき、ASDの特性がみられるか評価
これらの検査はお子さんの特性を理解するために行われ、必要に応じて追加の評価や専門機関への紹介が行われます。
医師・専門家による追加評価の流れ
3歳児健診で発達の遅れや発達障害の兆候が見られた場合、医師や専門家による追加評価が行われます。追加評価の流れは以下のとおりです。
- 再検査や面談
- 専門医による診察
- 支援プログラムの提案
自治体の発達相談センターなどで面談や簡易検査を実施したり、保健師による家庭訪問で家庭での様子を確認したりします。小児精神科や発達外来で、より詳細な診察を受けることもあるでしょう。発達の遅れが認められた場合、児童発達支援センターなどでの療育が検討されますが、状況によっては保育園や幼稚園での支援を継続する場合もあるでしょう。
3歳児健診で要観察・要フォローと言われたときの対応

3歳児健診では、「要観察」や「要フォロー」と判断されることがあります。不安を感じるかもしれませんが、お子さんの成長や発達の変化を丁寧に見守るための対応であり、必ずしも重大な問題があるわけではありません。ここでは、「要観察」や「要フォロー」と言われた際の対応方法を解説します。
6-1 要観察・要フォローと診断されたときの家庭での対応
お子さんの成長には個人差があり、少し時間がかかることもあります。家庭でできるサポートとして、以下の方法がすすめられるでしょう。
- 遊びを通した発達支援
- 成功体験の積み重ね
- 日常生活での関わり
- 生活習慣を整える
お子さんの興味や発達段階に合わせた遊びを取り入れましょう。絵本の読み聞かせ・積み木・お絵かき・粘土遊びなどを通じて、言葉・数・色・形などの学習機会を自然に作ることができます。
また、簡単なことから始めて少しずつ難しいことに挑戦させ、お子さんが「できた!」と感じられるよう工夫しましょう。成功体験が増えると、自信を持って新しいことに取り組む姿勢が育ちます。
それから、日常生活のなかで会話を増やしたり、公園で体を動かしたりほかのお子さんと遊ぶ機会を作ったりすると、言葉・運動機能・社会性の発達を自然に促せます。
規則正しい食事・睡眠・活動のリズムの維持で、心身の発達を支えられるでしょう。
お子さんにとって、家庭は安心できる場所であり、成長を助ける大切な環境です。気になることは保健師や専門家に相談しながら、ゆっくりと成長を見守りましょう。
専門機関の受診
3歳児健診で要観察と判断された場合、必要に応じて専門機関の受診がすすめられます。
- 児童発達支援センター:発達の遅れが疑われる場合、個別療育や集団療育で、日常生活の基本的な動作や適応訓練を行う
- 児童発達支援:発達の遅れや特性のある未就学児(0歳〜6歳)を対象に、成長をサポートするための療育や支援を行う
- 発達外来(小児神経科・小児精神科):専門医や心理士による診察や精密検査を実施
- 耳鼻咽喉科・眼科:聴覚や視力の詳しい検査を行う
- 言語療法士・作業療法士:言葉や運動機能の発達をサポートする
早い段階からの専門的なサポートが、お子さんの成長にとって大きな助けになるでしょう。
定期的なフォローアップ
3歳児健診で「要観察」や「要フォロー」と判断された場合、すぐに治療が必要なわけではありません。しかし、定期的にお子さんの成長を確認し、必要に応じて専門的な支援を受けることが重要です。お子さんの様子は日々変化していくため、フォローアップを受ける際に状況を伝えられるよう、発達の変化や気になる点をメモしておくとよいでしょう。支援内容の見直しや新たなサポートの追加がスムーズになります。
3歳児健診で発達に遅れがあると言われたときの対応

3歳児健診で発達に遅れがあると指摘されても、必ず障害があるわけではありません。成長の個人差が影響している場合も少なくないでしょう。しかし、早くから効果的な支援を受けられると発達を促しやすくなるため、適切な対応をとるのが大切です。
ここでは、発達の遅れを指摘されたときの対応方法を解説します。
発達の遅れの診断基準
健診では、各分野の「発達年齢」を基準として発達が判断されます。発達年齢とは、その年齢で期待される平均的な発達水準を示す指標です。
3歳児の標準的な発達の目安として以下のものが挙げられます。
- 言語面:「ママ、来て」など二語文を話す、簡単な会話ができる
- 運動面:片足立ちができる、両足でジャンプできる
- 社会性:親や友だちとコミュニケーションをとれる、簡単なルールを理解する
- 認知面:簡単な質問に答えられる、ものの名前を理解している
発達の目安と大きく異なる場合は、専門機関での追加評価がすすめられるケースがあるでしょう。ただし、発達の遅れは発達年齢だけではなく総合的に判断されます。
医療機関での精密検査
発達の遅れが著しく、ほかの問題が疑われる場合には、次のような精密検査が行われます。
- 脳の画像検査(MRI・CT):脳の構造や機能を確認
- 遺伝子検査:先天性の疾患や染色体異常がないかチェック
- その他の専門医での検査:聴力・視力・血液検査など
これらの検査を通じて発達の遅れの原因や合併症が明らかになり、適切な支援方法を検討できます。検査に関して不安なことや疑問があるときは、医師に積極的に質問しましょう。
早期療育の重要性
早期に療育を開始することで、発達の遅れを抑えて成長を引き出す効果が期待できます。療育とは、発達の遅れがあるお子さんを対象にした専門的な支援プログラムです。早期療育のメリットとして以下が挙げられるでしょう。
- 言葉やコミュニケーション能力の向上
- 運動機能の発達促進
- 社会性の発達支援
- 学習能力の向上
- 将来的な自立を促す
自治体によっては費用の負担なく療育を受けられる場合もあるため、相談してみましょう。
家庭でできるサポート方法
発達の遅れがあるお子さんには、言葉かけや遊びの工夫で成長を支援できます。日常生活のなかで自然に学べる環境作りが大切です。家庭でできるサポート方法を紹介します。
- 言葉の発達を助ける:お子さんの発言に丁寧に答える・読み聞かせ・歌
- 遊びを通じた学習:パズル・積み木・リズム遊び・お絵描き
- 社会性を育む機会を増やす:地域の子育て広場・プレイルーム
- 生活リズムを整える
親子のふれあいを大切にし、無理のないサポートを続けることが大切です。
まとめ
3歳児健診は、お子さんの健康状態や発達の進み具合を総合的に確認し、早めに必要な支援につなげるための大切な機会です。
この記事では、3歳児健診の目的や内容、ひっかかる原因、発達障害に関わる検査、そして検診で要観察・要フォローとされた場合の対応方法を解説しました。
3歳児健診にひっかかっても、発達には個人差が大きいため成長とともに改善するケースもあります。
早期から適切な支援を受けることで、発達の遅れを補って成長できる環境を整えられるでしょう。
健診で指摘を受けた場合も、過度に心配せずに専門家と相談しながらお子さんに合った対応を進めていくことが大切です。
お子さんが安心してのびのびと成長できるよう、自治体や専門機関、保育所や幼稚園などと協力して適切な対応をすすめていきましょう。