ホーム お役立ちコラム 児童発達支援とは?利用方法や支援内容、対象年齢など【基礎知識】

お役立ちコラム
2023.10.09

児童発達支援とは?利用方法や支援内容、対象年齢など【基礎知識】

児童発達支援とは?

児童発達支援とは、児童福祉法に基づいた障がい児の通所支援のことです。障がいを持ったお子さまに対して、日常生活における基本の動作や知識、集団生活を送るためのトレーニングをします。

児童発達支援を受けることで、日常生活や社会生活に対する不安や悩みが軽減され、親子ともに笑顔で生活を送ることが目標です。

例えば、

・座ってスプーンや箸などを使用しご飯を食べる
・ひとりでトイレにて排泄する
・着替えをおこなう
・話す・書く・聞くなどのコミュニケーション方法

などです。

障がいと診断されたお子さまが児童発達支援を受けると保育園、幼稚園やご家庭での生活がより円滑に行えるようになります。お子さんの将来の不安も軽減されることでしょう。

児童発達支援と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、不安なことがあれば、お住みの市町村区役所や小児科、児童発達支援センターなどに相談へ行くことをおすすめします。

児童発達支援の対象年齢は?

児童発達支援を受けられるのは未就学児(0〜6歳)です。小学校に入ると保育園等以上に集団での生活が多くなるので、未就学児の頃から集団生活に慣れておくことが大事です。

6〜18歳のお子さまは「放課後等デイサービス」にて支援を受けられます。

※高校卒業後も市町村が支援が必要だと判断された場合には、満20歳まで放課後等デイサービスの利用の延長が可能です。

児童発達支援を受けていたお子さまが成長し、放課後等デイサービスを継続的に利用することで長期にわたり絶え間なく支援を受けることができます。

児童発達支援の支援内容は?どんなことをするのか?

厚生労働省の児童発達支援ガイドラインでは、児童発達支援の支援内容は大きく分けて3つあります。

・発達支援(本人支援・移行支援)
・家族支援
・地域支援

【本人支援】

本人支援とはお子さまが日常生活や社会生活をスムーズに送れるように5つの面からサポートをおこなうものです。

(1)健康と生活

安全な生活を送れるように、心身共に健康かどうかの観察をおこないます。 また、基本的な生活スキル(食事、着替え、トイレでの排泄、身の回りの清潔など)を身につけるために、出来ないところや苦手なことをお子さまひとりひとりに合わせて援助をします。

施設内でのトレーニングと合わせ、ご家庭での生活の中でもできるようにご家族さまと連携を取り、生活リズム・動作が整うように環境を整えていきます

(2)運動と感覚

姿勢の保持や運動能力の向上をサポートします。筋肉をつけることやバランス感覚、空間認知力などの感覚を育むためには、運動や作業を通して楽しく適切な刺激が大切です。

風船・ボール投げやお絵描き、シール貼りなどの遊びを通して体全体の動きから指先の細かい動きまで、発達を促します。

目が見えにくい、耳が聞こえにくい、感覚過敏にて音が大きく聞こえてしまうなどのお子さまに応じて、メガネや補聴器、イヤーマフなどを活用できるようにサポートします。 障がいのあるお子さまは自分の思いを相手に伝えるのが難しいです。支援者が日々の様子を観察し、必要な補助器具を提案できるように援助します。

(3)認知と行動

視覚や聴覚、触覚などの感覚を利用して必要な情報を得られるように認知機能の向上を支援します。目の前にある情報を得るだけではなく、情報を生かして次にどのように行動したらよいのかを自分で考える必要があるからです。

例えば、物の形、大小、重さ、色、数量、音など。数量や時間などは特に理解するのが難しいので、絵や写真など視覚、実際に触って感じる触覚など様々な感覚にアプローチしていく必要があります。支援者はさまざまな媒体を使用して子どもが理解できるようにサポートしていきます。

認知機能に障害がある場合は、こだわりが強く出やすい・偏食がある・生活を送るうえで問題となる行動がみられること(例えば、バスは決まった席にしか座らない・決まったものしか食べないなど)もあります。認知機能の向上を手助けし、行動障害の予防が大切です。

(4)言語とコミュニケーション

物と言葉の認識をつなげることや、会話だけでなくジェスチャーや読み書きなどでもコミュニケーションが取れるようにします。

自分の思いを伝えることが難しいと、ストレスがたまってしまい、癇癪につながる・物や人に当たってしまうなどの行動につながるかもしれません。伝え方を学ぶことで行動障害を予防することにもつながります。

また、コミュニケーション能力を高めていくことで、学校生活や大人になってからの社会生活を円滑に送れる基盤をつくることができます。 自分の思いを伝えられるように発語のサポートをしていくとともに、相手の話す言葉・思いを理解できるようにサポートが必要です。

もちろん、コミュニケーションをとる方法は会話だけではありません。発語が苦手なお子さまもいます。ジェスチャー・点字・文字の読み書き・絵カードなどその子に合ったコミュニケーション方法をさがしていきます。支援者はお子さまのコミュニケーション方法を決めつけず、手段を狭めないような関わりが大切です。

(5)人間関係と社会性

人間関係を良好に保つために、他者とのかかわり・集団行動にアプローチした支援をします。

お子さまが笑顔で他者と関わるためには、愛着形成が大切です。これは健常児・障がい児問わず必要です。愛着形成とはお子さまと養育者との間に心の絆をつくることで、信頼関係を築くことです。

お子さまが保護者や支援者と信頼関係を築くことで、人への思いやりの気持ちを持つことや情緒の安定につながります。支援者は日々接することで信頼関係をつくり、お子さまのできることを増やしていけるようにします。

また、生活していくうえで集団の中に入ることは必要不可欠です。集団のなかでのルールを理解して、指示を聞く・じっとしている・周りと合わせるなどの行動ができるように支援します。

【移行支援】

移行支援とは、健常児・障がい児関わらず、すべてのお子さまが共に成長できるように、可能な限り地域の保育・教育を受けられるようにするとともに、同年代のお子さまとのかかわりをつくっていく支援です。

障がいのあるお子さまの発達状況を理解し、ご家族さまと相談をしながら地域の保育所などに入れるように支援していく「後方支援」も児童発達支援のひとつです。

保育園などの集団のなかで生活できるように、発達の評価・移行先との調整・移行先の環境評価・ご家族さまとの話し合いなどおこないます。移行先でスムーズに生活になじめるように、お子さまひとりひとりの特性に合わせた関わりが重要です。

【家族支援】

家族支援では、お子さま本人の援助だけではなく、ご家族さまが育児に前向きになれるようなケアが必要です。

ご家族さまにも支援をおこなうことで、お子さまを支える環境を整えることになり、暮らしが安定することにもつながります。

具体的には、障がいに関する情報提供・支援者からの発達状況の共有・個別相談・お子さまとのかかわりやコミュニケーションに関する相談や助言などです。親だけではなく、兄弟姉妹に対しても精神的フォローや関わりの指導をおこないます。お子さまを一時的に預かる「レスパイト」のような役割も担っています。

障がいを持つお子さまを育てるうえで、将来に対して心配や不安が出てくることもあるでしょう。支援者はご家族さまが相談しやすいような環境を整えるので安心して生活を送ることができます。

【地域支援】

地域支援は、保育施設・医療機関・市区町村・児童相談所・保健所などの関係機関と連携を取り、地域の子育て環境を整える支援です。

お子さまの生活は、施設の中だけでは終わりません。地域と連携を取ることで障がいのあるお子さまが施設を卒業後も社会で安心して生活できるように支援していきます。

地域の子育てに対する意識の向上のために、関係機関と電話やメールにて連絡を取り合うことや、定期的な会議をすることが必要です。

支援内容について

様々な面から支援をおこないますが、具体的には施設で遊びを通して学んでもらうことが多いです。各施設によって支援内容が異なりますが、タイムスケジュールの1例は以下の通りです。

▼平日の流れ
9:30〜  来所
10:00~ 自由遊び
10:30~ 課題遊び
11:00~ 片付け、準備
12:00~ 帰宅

▼休日の流れ
9:30〜  来所
10:00~ 自由遊び
12:00~ 昼食
13:00~ 個別プログラム
15:00~ 集団プログラム
16:00~ 帰宅

まず最初にするのは、健康状態の把握・身支度です。生活に必要なスキルを身に着けることが目的です。ただし、出来ないことをできるまで何度もさせることはしません。その行為が嫌いにならないように小さな「できる」の積み重ねをします。

遊びの時間では、ただその場にいることが無いように遊びの促しや見つけ方の手助けが大切です。お子さまの特性に合わせて必要な遊びを取り入れるなど、課題にチャレンジする機会も設けます。

児童発達支援の支援内容は「個別プログラム」と「集団プログラム」に分けられる

個別プログラムはお子さまの苦手なことを減らす・得意なことを伸ばすなどにアプローチをした活動です。ひとりひとり課題は違うものです。それぞれに合わせた対応が大事です。遊びに取り入れて支援していくので、お子さまは楽しく課題をこなすことができます。ちいさな「できた」を増やし、自信につなげます。

集団プログラムは座ってなにかをする・指示を聞くなど将来必要な行動の解決を目的とする活動です。個別対応だけではケアしきれないので、個別プログラムと組み合わせておこなわれます。例えば、椅子取りゲームなどの遊びを通して楽しい経験を積んでいき、座ることに対して抵抗を無くすような支援をします。

プログラムを決めるうえで、なんのためにこの支援をおこなうのかを考えることが必要です。障がい児に対して支援をするときは応用行動分析・TEACCHプログラム・認知行動療法・ソーシャルスキルトレーニングなどの様々な面からアプローチします。

児童発達支援の利用料金は?

児童発達支援の利用料金は、原則9割を国や自治体が負担をして、1割を利用者が負担することになります。ただし、お子さまの年齢や親の所得に応じて変動するので注意が必要です。

0〜2歳(年少未満)のお子様

利用者負担は1回あたり平均1000円前後です。 世帯の所得に応じて負担上限月額が決まります。ひと月に何回利用しても上限額以上の金額を払うことはありません。

(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象です。
(注2)収入が概ね670万円以下の世帯が対象です。
引用:厚生労働省HP(障害者の利用者負担)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan2.html
※各施設によって、食費や雑費の分が加算されます。

3〜6歳(年少〜小学校入学前)のお子様

現在は利用者負担が無償化されました。満3歳になってから初めての4月1日から3年間のお子さまが対象です。年齢や所得などの他に利用者の負担が軽減されるような決まりがあります。

多子軽減措置

保育園や児童発達支援に通う子どもが世帯に2人以上いる場合、第2子からは免除が受けられる制度です。

対象者は2パターンあります。

①児童発達支援を利用する未就学児のうち、兄または姉が保育所などに通う第2子以降のお子さま

②年収約360万円未満の世帯(世帯における市町村民税所得割合計額が77,101円未満)の場合、保護者と生計が同じの兄姉の中で第2子以降のお子さま

食費の減免

通う児童発達支援センターにて食事した場合、世帯の収入に応じて食費の負担額が軽減する決まりです。

自治体によっては他にも助成金が出る場合があります。実際にかかる費用についてはそれぞれの自治体・通う児童発達支援センターに相談をしましょう。

児童発達支援の利用方法は?流れや手続きを解説

児童発達支援の利用をするための流れは以下の通りです。

  1. 市町村の窓口や児童発達支援センターへ相談する
  2. 児童発達支援センターや児童相談支援事業所に相談して施設を決める
  3. 利用する施設へ見学に行く
  4. 「障がい児通所給付受給証」を得るための申請をおこなう
  5. 施設と利用手続きをおこなう
  6. 施設の利用を開始する

(1)市町村の窓口や児童発達支援センターへ相談する

医療機関にて障がいの診断を受けた場合、まずは市町村の福祉担当窓口や子育て支援窓口・児童発達支援センターに相談します。

この時に発達の検査をする場合もあります。お子さまの発達に問題があるかどうかわからない方は、まずは小児科にて相談しましょう。

(2)児童発達支援センターや児童相談支援事業所に相談して施設を決める

自治体にて児童発達支援を受ける必要があると判断された場合は、児童発達支援センターや児童相談支援事業所を紹介されます。お子さまの状態に合わせた施設を紹介しますので、見学する施設を決定します。

また、利用申請に必要な「児童支援利用計画」の作成もしているので、依頼が必要です。(ご家族さま自身でも作成可能ですが(セルフプランといいます)、手間もかかるので事業所を利用することをおすすめします。(自治体によってはセルフプランが認められない場合もございます。)

(3)利用する施設へ見学に行く

提案があった施設の中で、利用したい施設に見学をしに行きます。お子さまとご家族さまが過ごしやすい環境なのか・支援内容はどのようなものなのか・通いやすい位置にあるのかなど見学にて見ておきたい点を事前にメモしていくと当日に慌てません。

通いたい施設が決まったら、申請をおこないます。

(4)「障がい児通所給付受給証」を得るための申請をおこなう

児童発達支援を受けるためには「障がい児通所給付受給証」が必要です。「障がい児通所受給証」を得ることで利用者負担が1割となります。市町村区役所にて申請する必要があります。

申請に必要なものは主に以下の通りです。

・ハンコ
・マイナンバーがわかる書類(お子さまと申請者のどちらも必要です)
・障がい者等の手帳、もしくは医師の診断書
・申請書
・負担上限額の申請に必要な書類(収入などがわかるもの)
・児童支援利用計画

申請に必要な書類は自治体によって異なりますので確認が必要です。申請後はお子さまの発達状態を確認するために面談がある場合があります。

(5)施設と利用手続きをおこなう

障がい児通所給付受給証は自宅に郵送されます。

届いたら児童発達支援の事業所へ行き、契約をおこないます。

(6)施設の利用を開始する

契約ができたら通所のスケジュール確認後に利用が開始です。

児童発達支援とは障がい児が安心した生活を過ごせるようにサポートする施設です

児童発達支援とは、発達障がいグレーゾーンのお子さまや発達障がいと診断されたお子さまが生活をスムーズに送ることができるように援助する施設です。 幼いころからの支援は、将来の安心へとつながります。

生活動作の自立への支援や、運動機能の向上・コミュニケーション手段をつくること・集団でも問題行動なく過ごせるなど、お子さまの「できる」を増やしていくことが大切です。

支援者はお子さまの成長を見守り、社会に出たときにお子さまが困らないように一緒に成長をしていきます。成長とともに、親子で笑顔を増やすことが目的です。

児童発達支援には知識や技術を持ったプロフェッショナルがいます。 お子さまの行動に不安がある・対応の仕方がわからないという方は、どんなに小さなことでも相談をしてみてください。

お住まいの都道府県から、
こぱんはうすさくらの教室を探す
教室を探す
イラスト
Share
一覧へ戻る
  • 無料
    こぱんはうすさくらの体験授業・見学会開催中!

    お近くの教室のご見学や、実際のプログラムをお子さまと一緒にご体験いただけます。

    まずはお気軽にお問い合わせください。

  • その他のお問い合わせはこちらから
    子どもたちのイラスト1 子どもたちのイラスト2
無料 trial
体験授業・見学会
mail
お問い合わせ