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2023.11.20

ADHD(注意欠如・多動性障害)とは?種類・特徴・兆候を解説【チェックリスト付き】

子供がADHD(注意欠如・多動性障害)の兆候がある言動や行動をした場合、どこに相談したらいいのか、ADHD(注意欠如・多動性障害)にはどのような特徴や種類があるのかさまざまな疑問を持つことがあるでしょう。

ADHD(注意欠如・多動性障害)は、個人個人で困っていることや特徴が異なり、それぞれに合ったアプローチをすることが大切です。

ここでは、ADHD(注意欠如・多動性障害)の具体的な行動のチェックリストや、支援先、子供への接し方などを紹介していますので、参考にしてください。

ADHD(注意欠如・多動性障害)とは

ADHD(注意欠如・多動性障害)とは発達障害の1つで、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つに分類された行動をとり、単独のこともあれば特性が混合していることもあります。

これらの特性のある行動や言動が原因で、日常生活や社会生活をおくることが困難な状態です。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴は幼少期に出現しますが、「じっとしていられない」「忘れっぽい」など1つ1つが目立った問題行動ではないため、ADHD(注意欠如・多動性障害)とは気づかれず「少し変わっている子」「落ち着きがない子」と評価されることがあります。就学し、集団活動や教科学習を進めていく中で、特性が原因で活動に支障が出ることがあり、ADHD(注意欠如・多動性障害)ではないかと気づくこともあります。

ADHD(注意欠如・多動性障害)は生まれつき脳機能に障害があり、さまざまな特性のある行動をとります。脳機能の障害から、得意なこと、苦手なことに差があり日常生活に支障が生じます。多様な特性があり、同じADHD(注意欠如・多動性障害)の診断がついても症状が全く同じというわけではありません。本人や周囲が困っていることを正しく理解し、それぞれに合ったアプローチをすることが必要です。

ADHD(注意欠如・多動性障害)なるのは原因があるのか?

生まれつき脳機能に障害があることが原因となり、さまざまな特性が現れ、生活に支障を及ぼします。

発達障害支援法の第2条で発達障害は「脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。」と定義されています。

また、厚生労働省の政策レポート「発達障害者の理解のために」には「発達のしかたに生まれつき凸凹がある障害です。」と記載されています。

「じっとしていられない」「よくしゃべる」「よく物をなくす」など、症状が幼い子どもにもあるような特性が多いため、育て方やしつけのしかた、本人の努力不足などの評価をされてしまうことがありますが、生まれつき脳機能に障害があることが原因です。生まれつき脳機能に障害がある原因に関しては明確に解明されていませんが、遺伝的要因や環境的要因などが複雑に関係し、単一の原因ではないと言われています。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の種類

不注意

不注意は、注意力、集中力を持続させることが困難で、必要な事を忘れてしまう特徴があります。

小学校までの間は、多動性や衝動性の特性が目立ちやすく不注意の特徴には気づかないことがあります。

不注意の特徴は、子供の頃は周囲が許容していましたが、社会人になり「遅刻が多い」「ミスが多い」など仕事になると許容できない部分がでてくることで、大人になってから不注意の特性を持ったADHD(注意欠如・多動性障害)だったことに気づくことがあります。

多動性

多動性は、じっとしていることが苦手で、落ち着いて活動や課題を取り組むことが困難な特徴があります。

未就学時は「元気がいい子」「落ち着きがない子」と言われることがあり、就学してから「授業中に立ち歩く」「集団行動で待つことが苦手」など、年齢に合わない「多動性」が持続して現れ気づくことがあります。

個人差がありますが、年齢を重ねるごとに、脳機能の発達と共に多動性がおさまってくることがあり、成長と共に特性が変化することがあります。

衝動性

衝動性は、我慢することが難しく、外部からの刺激に衝動的に行動してしまう特徴があります。行動が乱暴になることや反抗的に見えてしまうことがあり、人間関係を構築し社会生活をおくる上で支障が生じます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の症状や特徴について

前の章で「不注意」「多動性」「衝動性」の3つに分けられた行動特性を紹介しました。ADHD(注意欠如・多動性障害)の症状や特徴は、本人がどの特性を持っているかによって異なります。

それぞれの特性による症状や特徴を紹介していきます。

「不注意」の症状や特徴

「不注意」には、必要なことを忘れてしまう症状があり、「忘れ物が多い」「友人との約束を忘れてしまう」などの特徴があります。注意力、集中力を持続させることが難しいことから「気が散りやすい」「人の話を聞いていないように見える」などの特徴もあります。

「多動性」の症状や特徴

「多動性」には、じっとしていることが困難な症状があり「目的もなく動き回ってしまう」「公共の場や静かにしないといけない場面で騒いでしまう」などの特徴があります。

「衝動性」の症状や特徴

「衝動性」には、衝動を抑えることが困難な症状があり「不適切な発言を衝動的にしてしまう」「イライラしていると物に八つ当たりをしてしまう」などの特徴があります。

これらの特性が単独で現れることもありますが、多動性と衝動性のように特性を併せ持つこともあります。不注意、多動性、衝動性の特性が混ざり合って現れることもあり、個人個人で症状は異なります。

特性を知ることでそれぞれの症状や特徴に合わせたアプローチをし、安定した日常生活や社会生活をおくれるように対応することができます。そのためには、本人や周囲がどのようなことに困っているのかを正しく理解し、適切なサポートを受けることが必要です。

症状や特徴を理解することで、できることを伸ばし、難しいことは何らかの手段で代替えさせることもできます。症状や特徴を正確に知ることが、本人に合った適切な支援を受けることに繋がっていくでしょう。

ADHD(注意欠如・多動性障害)への支援や治療法は?

ADHD(注意欠如・多動性障害)のことに関して相談したいことがある場合は、各自治体が設けている専門機関で相談することができます。

療育が必要と認められた場合は、未就学は児童発達支援センター、就学すると放課後等デイサービスに通い特性に合ったアプローチを受け、自立した生活が送れるように訓練をすることができます。

学校生活で困っていることがある場合は、学校に配置されている特別支援教育コーディネーターに相談することができます。

制度や専門機関の相談をしたい場合は、市町村保健センターで年齢問わず相談することができ、発達障害児(者)が利用できる発達障害支援センターも利用することができます。

障害がある本人だけではなく、家族が一時休息を取れるようにサポートをする、日中一時支援などサービスもあります。他にも児童相談所や基幹相談支援センターなどがあり、障害がある人や家族の地域生活を支援するために多様な専門機関が設けられていますので、心配なことがある場合は相談してみるといいでしょう。

学校でもADHD(注意欠如・多動性障害)の支援を受けることが可能

専門機関以外では、学校でおこなわれている支援を受けることもできます。2016年に「障害者差別解消法」が施行され、学校でも可能な限り合理的配慮をおこなうことが義務づけられました。

担任の先生に子供の特性をしっかりと伝え、どのようにアプローチすれば安定して学校に通うことができるのか相談することができます。個別対応が必要な子供に、特別支援教育支援員を配置し、移動の補助や課題面のサポートなどの支援を受けることができます。(地域による)担任の先生が対応しきれない部分の個別対応をすることで、子供が安全に授業に参加することができます。

他にも通級指導教室を利用することで、子供に合わせた特別な指導を受けることができます。通級指導教室では、その時間のみ教室を移動し、障害が原因で困難な部分を改善、克服できるように個人個人に合わせたプログラムを受けることができます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の薬物治療

ADHD(注意欠如・多動性障害)へのアプローチとして、薬物療法をおこなうこともあります。ADHD自体の治癒を目的としたものではなく、衝動性、多動性、不注意などの症状を緩和させる目的のためにおこなわれます。薬の処方には医師の診断が必要になるため、児童精神科などで診察を受ける必要があります。副作用や薬の必要性などを考ながら医師と相談の上決めていきます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)は脳機能の障害のため、治癒を目的とした治療法は難しいとされていますが、症状を緩和し日常生活を送りやすくすることはできます。

症状が個人個人で異なり、それぞれの特性にあったアプローチをすることで、苦手なことを改善するようトレーニングしたり、難しい場合は何らかの手段で代替えさせることもできます。障害の特性は多様にあり、困っていることや必要な支援は人それぞれ異なります。専門機関や学校、医師など多方面から支援を受けることで、多様なニーズに対応することができます。本人に必要な支援を上手に活用し、本人に合ったアプローチができるといいでしょう。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の兆候やサインってあるの?

ADHD(注意欠如・多動性障害)の症状は12歳より前に出現します。

症状は、幼さから現れる特徴と似ている部分があるため、未就学の時期には分かりにくく、兆候を見逃してしまうこともあります。国立精神・神経医療研究センターが作成した「1歳から始めましょう、発達障害児と家族への早期総合支援」には、ADHD(注意欠如・多動性障害)は1歳6ヵ月では発見は困難と記載されています。

1歳6ヵ月には乳幼児健診がありますが、兆候やサインに気づくことが難しく、3歳の乳幼児健診時にADHD(注意欠如・多動性障害)の傾向があると告げられることがあります。乳幼児健診だけでは、見つけることが困難な場合があり、家庭や幼稚園、小学校の生活の中でも確認していけるといいでしょう。

特性が原因で支障が生じる時は、集団行動や人間関係、教科学習の場面に出現しやすいです。

未就学の時には「よくしゃべる子」「よく動く子」と感じていましたが、小学校に入り集団行動やお友達との関係性を築く際に、特性が原因で困難な場面があり気づくことがあります。

具体的には「座っていなくてはいけない場面で動き回ってしまう」「お友達の行動をさえぎって自分がやってしまう」「忘れ物や落とし物が多い」などの行動があります。

1つ1つの特性としては分かりにくいことがありますが、これらの特性が、自宅や学校、他の場所での活動など複数の場所で出現し、年齢に合わない行動や言動が持続時におこります。

ADHD(注意欠如・多動性障害)のチェックリスト

ADHD(注意欠如・多動性障害)には「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性があるため、どの特性を持っているかによって症状が違います。具体的な行動をそれぞれの特性ごとに紹介します。

「不注意」の特性による行動

  • 忘れ物が多い
  • 気が散ってしまい、興味がないことをやり遂げることができない
  • 掃除当番や宿題、課題などを最後までできない
  • 物を無くすことが多い
  • 注意力や集中力を持続させることが難しい
  • ぼーっとしていることがあり、話を聞いていないように見える

「多動性」の特性による行動

  • 席に座っていられず動き回ってしまう
  • じっと座っていることができず、足をバタバタ動かしたりする
  • 自分の話しばかりしゃべり続けてしまう
  • 落ち着いて活動に参加できない
  • 椅子に座っている時に貧乏ゆすりをしたり、体を小刻みにゆらしたりする

「衝動性」の特性による行動

  • 順番を待てず割り込む
  • 思ったことを思ったタイミングで言う
  • 口喧嘩をした時に手が出る
  • イライラした時に乱暴になってしまう
  • 他の人の行動を妨げて自分がやってしまう

公的なサポートはあるの?

ADHD(注意欠如・多動性障害)と診断を受けた場合は、障害者手帳の申請をすることができます。

障害者手帳を取得する場合、ADHD(注意欠如・多動性障害)は発達障害の1つなので、精神障害者保健福祉手帳が対象になります。手帳の申請をする場合は医師の診断書が必要になり、1級、2級、3級の等級を精神福祉保健センターが判定します。手帳を取得することで等級に合わせたサービスを受けることができます。

障害者手帳を取得していなくてもサポートは受けられる?

手帳を取得していない場合でも「障害福祉サービス受給者証」を取得することで、月々の利用負担を軽減して障害福祉サービスを受けることができます。

障害福祉サービスには、自宅で入浴や食事などの身体介助を受けることのできる「居宅介護」

外出をする際の移動介護をおこなう「行動援助」

介護者が何らかの理由で介護が困難な場合、児童福祉施設などに子どもが短期入所することができる「短期入所」などがあります。

療育が必要と認定された場合、発達支援センターや放課後等デイサービスを利用できます。「障害児通所受給者証」を取得することで、月々の利用負担を軽減して利用できます。

これらのサービスは、通所しながら子どもの特性に合わせたアプローチを受け、自立した生活がおくれるように支援することを目的としています。利用時に面談をおこない、個別支援計画書を作成します。子供にどのような特性があるのか、どのようなことで困っているのか、子どもにどうなって欲しいのかなどをヒアリングし作成され、それぞれの子供に合わせたプログラムや支援をおこないます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)のある子供との接し方

ADHD(注意欠如・多動性障害)は、特性が大きな問題行動ではないため、障害があることが分かりにくく「変わっている子」と評価されてしまうことがあります。

特性が原因の行動や言動から、注意を受け「ダメ」と言われることが多くなり、ストレスを蓄積してしまうことがあります。怒られることが多く、できないことが増えてしまうと「できなかった」「怒られた」といった印象が残ってしまい自己肯定感が低くなってしまいます。

その状態が続くと二次障害へと繋がってしまうことがあります。二次障害とは、特性が原因となり精神疾患などの諸問題を引き起こしてしまう後天的な問題のことをいいます。

本人は努力しているが、特性が原因で問題行動をしていることを理解することが大切です。自己肯定感を高められるように、ADHD(注意欠如・多動性障害)の子供と接する場合は、スモールステップアップで課題に取り組み「できた」といった成功体験をたくさん積んでいけるといいでしょう。

「椅子に5分間座れるように頑張ってみよう」など小さな目標を立て、達成できれば徐々に時間を増やしていくなどの対応がとれると、本人が苦手なことでも「できた」と思うことができます。終わりが分かりにくいと癇癪をおこしてしまうこともあるため、タイマーなどを使用したり、本人が受け入れやすい工夫をすると達成しやすくなります。

まとめ

ADHD(注意欠如・多動性障害)は、一見障害が分かりにくいため、周囲から理解されずストレスを蓄積してしまうことがあります。それぞれの特徴に合ったアプローチをし、スモールステップアップをしながら「できた」という経験をたくさん積むことで、症状を緩和させ日常生活や社会生活がおくりやすくなります。

本人や周囲が困っていることを正しく理解し、支援を上手に活用しながら適切なアプローチができるといいでしょう。

適切なアプローチをすることが、自己肯定感が低くなることを防ぎ、安定した生活へと繋がります。

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