発達障害の症状とは?
発達障害とは、生まれつき脳機能の発達に偏りがあることで生じる障害の総称です。その特徴や原因の違いにより、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)の大きく3つのタイプに分類されます。
発達の特性には個人差が大きく、得意なことと苦手なことの差が目立つこともあります。また、これらの障害が部分的に重複して現れることもあります。その場合、生活や人間関係の悩みが増えやすいため、適切な診断と支援が重要です。
通常、発達障害の症状は幼少期に現れますが、症状の程度によっては周囲から「変わった子」と認識され、大人になってから就労などのタイミングで気づくこともあります。
発達障害は知的な遅れを伴う場合もあれば、知的な遅れがなく行動や情緒面で特性が現れることもあり、発達の仕方にばらつきがあるのが特徴です。特定の分野では優れた能力を発揮する一方で、極端に苦手な分野がある場合もあります。
例えば、数学の計算は得意でも文章の読み取りが苦手だったり、細かい作業は得意でも臨機応変な対応が難しかったりと、特性の現れ方は人によって異なります。 また、脳の働き方の違いにより、物事の捉え方が独特であるため、日常生活や社会生活に支障をきたしやすく、生きづらさを感じることも少なくありません。
自閉スペクトラム症(ASD)
対人関係やコミュニケーション能力に苦手さが見られやすいのが、自閉症スペクトラム症(ASD)です。
多くの場合3歳頃までに症状が現れはじめ、以下のような特性が見られます。
- 目線が合わない
- 笑いかけても微笑み返さない
- 指差しや模倣が少ない
- 言葉の発達が遅い
- こだわりが強い
- 感覚の過敏さがある
- 特定の分野での興味が強い(興味の偏りがある)
- 急な予定変更が苦手
特性が見られる場合、1歳半検診や三歳児検診の際に指摘される場合がありますが、知的の遅れや発語に遅れなどが見られにくい場合は、就学後などに診断を受ける場合もあります。
また、感覚刺激を好む場合は『身体を前後にゆらしたり、くるくる回る』『手のひらを顔の前でひらひらとする』『流水を触るのを好む』などといった感覚を好む人もいます。
「スペクトラム」とは「連続体」を意味し、重い自閉症から軽い自閉症まで境目なくグラデーションのようになっていることを表しています。
つまり自閉症の特性や程度、苦手さの現れ方はさまざまで、人によって異なるのが自閉症スペクトラム(ASD)の特徴です。
注意欠如・多動症(ADHD)
大きく『不注意』『多動・衝動性』『不注意と多動・衝動性の混合型』の3つに分かれる特性を持つのが、注意欠如・多動症(ADHD)です。
それぞれの特性は以下の通りです。
不注意型
- 集中力を持続するのが難しい
- 忘れ物が多い
- 周囲の刺激に注意がそれやすい
- 話しかけられても気づかない
- 計画を立てるのが苦手
多動性・衝動性型
- じっと座っているのが苦手
- 順番を待つのが難しい
- 感情や欲求のコントロールが苦手
- 言葉よりも先に行動に移してしまう
混合型(不注意と多動・衝動性の両方の特性を持つ)
男女によって発現率にも違いがあり、男:女の比率は幼児期の場合2:1と、男児の方に多く見られますが、不注意の点では男児よりも女児の方に多く見られる傾向にあります。
学習障害(LD)
学習障害は、知的な遅れなどは見られないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習において必要である基礎的な能力のうち、ひとつから複数の特定の能力について困難さが見られるという特性があります。
目安としては、学校での学習到達度に対し、1〜2学年程度の遅れが見られるケースが一般的です。
具体的な特性については以下の通りです。
●聞く:複数の指示を理解することが苦手で、情報を処理しきれないことがあります。
(例:2つ同時に指示を出すと、一つしか処理ができない。)
●話す:道筋を立てたり、要点をまとめて話すことが苦手なため、伝えたいことをうまく相手に伝えられないという特性があります。
●読む:文字の読み間違いや、文章の理解が難しく、逐次読みになるなどの特性があります。
音と文字の関連性を理解するのに時間がかかります。
教科書体などの読みやすいフォントを使ったり、文の区切りに線を入れたりして読みやすくなる支援をすることがオススメです。
●書く:書字に困難さがあり、文字の形が不安定になったり、鏡文字になるほか、「い」と「り」など、似ている文字同士が混同することがあります。そのほか文字や文章を書くことに時間がかかる場合があります。
●計算する:数字や計算の概念を理解することが苦手です。そのため基本的な計算操作の習得に時間がかかることがあります。そのほか、計算の過程を忘れたり、暗算が苦手などの特性があります。
●推論する:情報を整理し、論理的に考えることや抽象的な表現の理解が苦手です。
学習障害のあるお子さんは、他の分野では発達に遅れが見られない場合などに「本人の努力不足」と捉えられることも多くあります。
その結果自己肯定感の低下などにも繋がりやすいため、注意が必要です。
発達障害の「グレーゾーン」とは?
発達障害のグレーゾーンとは、発達障害の特性や、診断基準で当てはまる項目などが見られるものの、診断基準を満たさずに正式な診断名などが出ていない状態を指します。
発達障害と定型発達の中間辺りを指すことから、「グレーゾーン」と呼ばれています。
診断名がないため支援を受けにくく、周囲の理解を得にくいという課題があります。しかし、生活の中で困りごとや生きづらさを抱えやすいため、適切な対応が必要です。
発達障害のグレーゾーンの例として、以下のような特性があります。
- 片付けが苦手
- 会話が一方通行になりがち
- ケアレスミスが多い
- こだわりが強い
- 気が散りやすく、集中力が持続しない など
発達障害グレーゾーンの子供の特徴

保育園・幼稚園(2歳〜5歳)
【コミュニケーション面での特徴】
・言葉の発達がゆっくりで、語彙が少ない。
・会話のキャッチボールが苦手で、質問に対してズレた回答をすることがある。
・自分の興味のあることばかりを話す。
【対人関係面での特徴】
・相手の表情などから気持ちを察することが苦手。
・適切な距離感での関わり方が分からず、遊びの延長で叩いたりすることがある。
・ルールのある遊びが苦手。
・順番を待つ、並ぶなどの集団行動が苦手。
・集団遊びに興味を示さず、一人遊びを好む。
【感覚や運動面での特徴】
・特定の音や光などの感覚刺激に弱い。
・服の素材へのこだわりがある。
・食に対してのこだわりがある。
・順番や道順、物の位置などのこだわりがある。
・不器用でボタンやハサミなどの扱いの苦手さがある。
【注意力や行動面での特徴】
・気になることがあると、食事や作業中でも中断して動き回る。
・好きな遊びや興味に偏りがある。
・じっと座って話を聞くことや待つことが苦手
・突然の予定変更が苦手でパニックになることがある。
【学習面での特徴】
・文字または数字に強い興味を示すことがある。
・記憶力に優れていることがある。
・複数の指示を同時に出されると混乱する。 など
小学生
【コミュニケーション面での特徴】
・会話のキャッチボールが苦手で、一方的に話したり割り込んで話すことがある。
・説明をすることが苦手で相手に伝わりにくいことがある。
【対人関係面での特徴】
・マイルールなどを発動し、集団遊びなどでトラブルになりやすい。
・ルールや勝ち負けのある遊びでトラブルになりやすい。
・適切な距離感で関わることができず、極端に距離が近いなどがある。
【感覚や運動面での特徴】
・人が多い場所などが苦手
・転びやすい、ボディイメージが掴めておらずぶつかりやすい。
・紐結びが苦手などの不器用さが見られる。
・抽象的な指示や「自由に作って(描いて)良い」などの指示が苦手で困惑する。
【注意力や行動面での特徴】
・忘れ物が多い。
・机やランドセルの中の整理が苦手。
・授業中、椅子に座り続けて授業を受けるのが難しい。
・先生が全体に対して言った指示を理解していない。
・提出物を忘れたり、保護者に手紙を渡し忘れる。
【学習面での特徴】
・学力に遅れがあり、読み書きや計算が苦手で間違いが目立つ。
・ケアレスミスが多い。
・文章問題につまづきが見られる。
・学力に遅れがあり、読み書きや計算が苦手で間違いが目立つ。
・板書が苦手で写しきれないことがある。 など
中学生・高校生
【コミュニケーション面での特徴】
・文脈から言葉の裏側を読み取るのが苦手で察することなどが難しい。
・何気ない会話や雑談が苦手でクラスで孤立しやすい。
・グループ行動に馴染めない。
【対人関係面での特徴】
・思ったことを口にし、悪気なく相手を傷つけることがある。
・相手を傷つけてしまっても気が付かないことがある。
・暗黙の了解が分からなかったり、空気を読むのが苦手。
・クラスメイトが言った冗談などを本気にする。
・比喩が分からず言葉のまま受け取る。
・LINEなどで会話の止め時がわからない、スタンプを連投してしまう。
【感覚や運動面での特徴】
・運動が全般的に苦手
【注意力や行動面での特徴】
・提出物の期限管理が苦手。
・好きなことを止められず生活リズムが乱れたり、切り替えなどが苦手。
【学習面での特徴】
・小学校での基礎的な学習内容が定着しておらず、授業についていくことが困難。 など
発達障害グレーゾーンの子供の接し方

発達グレーゾーンの子どもへの接し方に、決まった正解があるわけではありません。大切なのは、子ども一人ひとりの特性に合った方法を見つけ、柔軟に対応することです。
年齢や発達の状況に応じた学習方法や療育を、家庭や学校など周囲の大人が協力しながら進めていくことが重要です。例えば、先生によって指示の仕方が違ったり、家庭と学校で対応が異なったりすると、子どもは混乱しやすくなります。その結果、ストレスが増し、成長の妨げになることもあります。
そのため、子どもの特性や発達の状況について共通認識を持ち、一貫した接し方を心がけることが大切です。
保育園・幼稚園(2歳〜5歳)
食事や作業中に気が散って集中が続かない場合は、環境を整える工夫をしましょう。例えば、食事中はテレビを消し、静かな環境を用意することで、注意がそれるのを防ぐことができます。
また、切り替えが苦手な子どもには、視覚支援を活用すると効果的です。例えば、残り時間が視覚的に分かるタイマーを使うことで、時間の見通しが立ちやすくなります。
さらに、一度に複数の指示を出すと混乱しやすいため、簡潔で分かりやすい指示を一つずつ伝えることも重要です。
小学生(6歳〜12歳)
学習面で遅れがある場合、自信を失ったり、自己肯定感が低下しやすくなります。また、衝動的な行動やマイルールを作りやすい子どもは、友達とのトラブルにつながることもあるため、大人が適宜サポートしながら見守ることが大切です。
学習面でのミスや友達とのトラブルがあった場合も、頭ごなしに叱るのではなく、「こうすればよかったね」と具体的な改善策を伝えることで、自己肯定感を損なわずに成長を促せます。
また、気持ちを言葉で表現することが苦手な子どもには、親や先生が気持ちを代弁しながら伝えるのも効果的です。「お友だちはこんな気持ちだったかもしれないね」「あなたはこう言いたかったのかな?」と、適切な言い回しを提示することで、コミュニケーションのサポートになります。
指示を出す際は、「ちゃんと」「きちんと」などの曖昧な表現を避け、具体的な指示をするようにしましょう。例えば、「ちゃんと片付けてね」ではなく、「使ったノートと鉛筆を引き出しにしまおうね」と伝えると、理解しやすくなります。
トラブルがあった場合は、落ち着いてから話を聞く時間を確保し、子どもの気持ちを整理する時間を持ちましょう。振り返りを通して、次に同じような状況になったときにどう対応すればよいかを一緒に考えることが大切です。
学習面では、文字の書き順や細かいルールにこだわりすぎず、本人のペースで取り組めるようにサポートすることが重要です。特に、長時間椅子に座るのが難しい場合や、学習の遅れが目立つ場合は、通級指導教室(抽出授業)や支援級の活用を検討するのも良いでしょう。 また、板書を写しきれない、連絡帳の宿題範囲が分からない、宿題を持ち帰り忘れるといったケースも多いため、担任の先生と連携しながらフォローできる環境を整えることが大切です。先生に子どもの特性を理解してもらい、適切な配慮をお願いすることで、より良い学習環境を作ることができます。
中学生・高校生(13歳〜18歳)
中高生になるとテスト期間などがありますが、発達グレーゾーンのお子さんは見通しや計画を立てることが苦手です。
テスト前の勉強なども、どの程度取り組むべきか自分では適切に判断できなかったり、長期休暇中の宿題などの計画も極端な計画を立てることがあります。
その場合は、「◯日までに◯ページ取り組もう」などと具体的に提案することで、見通しを立てて取り組むことができます。様子を見守りつつ、アドバイスをしていくと良いでしょう。
また、同世代との何気ない会話が苦手な場合だったり、空気を読むことが苦手なことから、友人関係のトラブルや、クラスまたは部活動に馴染めず、不登校になるケースがあります。
また、授業などについていけない経験などから、自己肯定感が下がっているケースもあります。 家庭では悩み事が無いか話を聞いてあげたり、「いつでも味方だよ。」「何かにあればいつでも相談してね。」といった姿勢を見せてあげることも大切です。
子供が発達障害グレーゾーンかも?と思ったときにすべきこと

発達グレーゾーンの可能性がある場合、まずは園や学校など、子どもを取り巻く環境の大人に対して、子どもの発達特性について説明し、協力を仰ぐことが大切です。適切な理解と配慮を受けることで、子どもにとって安心して過ごせる環境を整えやすくなります。
また、WISC(知能検査)などの発達検査を定期的に受けるのも有効です。この検査を通じて、子どものIQや得意・不得意の傾向を把握でき、適切な関わり方のアドバイスを受けることができます。さらに、進学時の引き継ぎにも役立ち、子どもがスムーズに新しい環境に適応しやすくなります。
しかし、教育現場では発達障害のグレーゾーンに対する理解が十分ではないこともあり、本人の努力不足や親のしつけの問題と誤解されるケースがあります。周囲から「頑張ればできる」「わがままなだけ」と捉えられてしまうと、子どもの自尊心や自己肯定感の低下につながり、学校生活にも影響を及ぼしかねません。
適切な配慮が受けられない場合は、担任の先生に相談するほか、スクールカウンセラーがいる場合は積極的に活用すると良いでしょう。また、発達特性は「個性」とも言えます。子どもの個性を理解してもらうことで、行事や得意分野を発揮できる場面では、適したポジションを与えられ、活躍の機会が増えることもあります。 さらに、療育機関の活用も検討しましょう。学校や家庭だけでは十分な時間を確保しにくい場合でも、療育機関では専門的な支援を受けることができます。発達障害のグレーゾーンであっても、児童発達支援や放課後等デイサービスを利用できるため、子どもの特性や困りごとを相談し、適切な支援を受けることが可能です。こうした支援を通じて、他者との関わり方を学び、さまざまな経験を積むことができます。
療育サービスの対象年齢は以下の通りです。
- 児童発達支援:3歳〜就学前
- 放課後等デイサービス:就学後〜18歳
- 混合タイプの放課後等デイサービス:3歳〜18歳
発達グレーゾーンの子どもは、定型発達の子どもと比べると、成長のペースがゆるやかであることが特徴です。そのため、早期療育を行うことで、周囲との発達の差が広がるのを防ぎ、スムーズな成長をサポートすることができます。また、発達特性を理解する支援者がいる環境で過ごすことで、合理的配慮を受けながら、のびのびと成長できる可能性も高まります。
※児童発達支援や放課後等デイサービスなどは「受給者証」という許可証を取得すれば、行政からの給付金を受けながら利用することが出来るようになります。取得については、自治体によって手続きが異なる場合があるため、詳しくはお住まいの自治体の窓口にお問い合わせください。(市役所障害福祉課、保健センター等)
子供が発達障害グレーゾーンかも?と思った時の相談先

子どもが発達グレーゾーンの疑いがある場合、【医療機関】、【発達障害者支援センター】、【市区町村】と大きく分けて3つの相談先があります。
それぞれの違いは以下の通りです。
【医療機関】
主に精神科や心療内科で相談が可能です。施設によっては「メンタルクリニック」や「こころのクリニック」という名称である場合もあります。
最近では「発達障害外来」と専門的に診療や相談ができる部門を設けている精神科もあります。
発達障害に関する相談や診断を必要とする方は、住んでいる地方自治体のホームページを確認することで、相談可能な医療機関を調べることができる場合が多いです。
すべての自治体が情報をオンラインで提供しているわけではないため、地域によっては直接自治体の福祉課や保健センターに問い合わせる必要がある場合もあります。
【発達障害支援センター】
発達障害支援センターでは、発達障害が原因で日常生活にさまざまな困難が生じたときに、困難を感じるお子様やご家族が、行動や言動について相談することができる機関です。
当事者だけでなく、その家族にも寄り添いながら総合的な支援を行っています。
また、福祉制度の利用方法や申請手続きについて説明などを行うほか、医療機関や相談支援事業所、児童家庭支援センター、児童発達支援・放課後等デイサービスなどの福祉施設の紹介も行っています。
さらに、教育機関の選択をサポートする役割も担っています。特別支援学級や特別支援学校、通級指導教室など、それぞれのご家庭のニーズやお子さまの困りごとに合わせ、適切な教育環境を選べるよう支援を行っています。
【市区町村】
発達障害に関する相談は、お住いの市区町村でも相談することが可能です。基本的には福祉課ですが、自治体によって名称が違ったり、障がい者支援課など別に窓口を設けている場合もあるため、お住いの自治体の相談窓口を事前に自治体のホームページなどで調べておくと良いでしょう。
発達障害グレーゾンの子供に親ができること

発達グレーゾーンの子どもは、成長とともに周囲の子どもとの違いに気づき、自信をなくしたり、悩みを抱えることが少なくありません。特に、学校生活や友人関係の中で「うまくできない」「思った通りにいかない」と感じることが増え、自己肯定感が低下しやすくなります。
そんなとき、子どもにとって最も安心できる存在である親が「どんなときでも味方でいるよ」と伝え、支えてあげることが何よりも大切です。日常の中で「大丈夫だよ」「頑張っているね」と声をかけたり、成功したことを一緒に喜ぶことで、子どもは安心感を得られます。
また、発達特性による言動に対して、親が戸惑ったり、「どうして?」と悩むこともあるかもしれません。しかし、子どもは子どもなりのペースで成長しています。すぐに変わらないことも多いですが、焦らず、子どもの特性を理解し、受け入れながら関わることが大切です。
例えば、こだわりが強く予定変更に敏感な子には、事前にスケジュールを伝えたり、視覚的に見通しを立てられる工夫をすることで、不安を和らげることができます。また、失敗を過度に恐れる子には、「間違えても大丈夫」「チャレンジすることが大切だよ」と繰り返し伝えることで、少しずつ新しいことに挑戦する勇気を持てるようになります。
さらに、親自身も一人で抱え込まず、学校の先生や専門家、支援機関などと連携しながら、子どもにとって最適な環境を整えていくことが重要です。同じような悩みを持つ親同士の交流会に参加するのも、心の支えになるでしょう。
発達グレーゾーンの子どもは、周りと比べるとゆっくりとしたペースで成長することが多いですが、親の温かい見守りと適切なサポートがあれば、少しずつ自信を持ち、持ち前の良さを発揮できるようになります。長い目で成長を見守りながら、子どもの「できること」を増やし、強みを伸ばしていくことを意識して関わっていきましょう。
まとめ
発達障害とは、生まれつき脳の発達に偏りがあることで、成長とともに得意・不得意の差が顕著になったり、定型発達の子どもに比べて発達のペースがゆっくりであることが特徴です。発達障害には主に、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)の3つのタイプがあり、それぞれ異なる特性を持っています。
一方、発達障害のグレーゾーンとは、これらの特性が見られるものの、診断基準を満たしておらず、明確な診断名がついていない状態を指します。そのため、外見からは分かりにくく、周囲の理解を得にくいことが多いため、「しつけの問題」や「本人の努力不足」と誤解されやすいという課題があります。こうした誤解が、当事者や保護者にとって大きなストレスとなることも少なくありません。
しかし、早期の療育や適切なサポートを受けることで、社会生活に必要なスキルを学んだり、得意分野を伸ばしながら苦手な部分にアプローチすることが可能です。
また、学校や家庭、支援機関が連携しながら子どもの特性に合った環境を整えることで、より安心して成長できるようになります。
発達障害グレーゾーンについて悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、発達障害者支援センターや療育施設、スクールカウンセラーなどの専門機関を積極的に活用しましょう。適切なサポートを受けることで、子どもにとっても親にとっても、より安心して過ごせる環境を作ることができます。子どもの個性や特性を理解し、その子に合った成長の道を一緒に歩んでいくことが大切です。